二度と戻らない言葉

子供の頃、誰もが一瞬でも「早く大人になりたい」と加齢への憧れを持ったタイミングがあったかもしれません。年を重ねる事は素敵な事ではありますが、長く生きれば生きるほど、辛い出来事にも沢山遭遇します。その代表格なのが「身内の死」です。私のここ近年、次々と身内を失い、そして次々と尊敬していた或いは慕っていた方々が天国に旅立たれました。もう一度会いたい。もう一度会話を交わしたい。どんなに泣いても、どんなに願っても、私達人類は死という現実を避けては通れないのです。

親と口論になったり、恋人と口喧嘩したり、配偶者と揉めたり。人は心無い一言を簡単に、一時の感情で出してしまう生き物です。しかし誰かに苛立つ事が出来るのも、自分自身や相手に明日があるという安心感があってこそ。ただ、いつの日か後悔する日がくるかもしれません。例えば母親に「クソばばぁ」と暴言をはく息子がいたとします。でも、もしその息子に「未来予知」の能力があったとして、母親が明日交通事故で急死すると分かっていたとしたら、母親に同じように暴言を言う事は出来るでしょうか。

逆のパターンで、もし明日、自分自身が死んでしまうと予測出来ていたとしたら、皆さんはきっと「言葉を選ぶ」はずです。自分が今、まさにその瞬間に発しようとしている言葉が「最後の言葉」になっても後悔しないように、私達は言葉を大切にしていかなくてはならないと思います。そして相手を思いやる心が大切だと思います。SNSの発達により、昔よりも更に一層「言葉の重み」が消えかけてきた今だからこそ大切にしたいのは言葉です。

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