ハワイには尊い思い出が

以前のコラムでも書いたかと思いますが、私は毎年2ヶ月ほどハワイに滞在する事が通例になっています。なので年々変化する、ハワイの微妙な変化に感じる機会も多いように感じます。特にコロナと言う未曾有の危機の中、ハワイ州も力強く乗り切った事を感慨深く感じます。

そんな中で先日、ハワイの某ホテルのチェックインカウンターで泣き崩れてる若いお嬢さんがいました。これからチェックインをし、ハワイ滞在を楽しむ矢先なのにも関わらず、なぜ彼女は泣いているのか。
 私はどうしても気になって、後でチェックインカウンターの方に理由を聞いてみたんですね。そしたら、いつも一緒にハワイに来ていた家族が、去年亡くなられたらしくて。
チェックインカウンターの方は、彼女の名前と顔をしっかりと覚えていて、いつもは4人で来ていたので、今年は1人少なく3人でチェックインだったものですから「どうしたのか?」と気を遣って聞いたらしいんです。
そしたら家族がなくなったと言う話を聞いて、チェックインカウンターの女性と、その当事者である彼女が、抱き合いながら号泣していました。
その姿を見て、私はハワイという素敵な空間には、どれだけの「思い出」と「青春」が残されれているのか、そしてハワイを愛し続けた方々の心の中に沢山の素晴らしい記憶が大切に記録されているのではないかと、しんみりと感じてしまいました。
私が初めて渡米してから30年以上が経過し、かつて一緒に渡米していた、祖父母も亡くなり、両親も徐々に旅に行く体力と気力が何年、弱まっている様に感じます。
晩年の祖母に「ハワイに行きませんか?」と声をかけたら「私がハワイ渡航を今したら、荷物を運ばせたり、私の歩くペースにみんなが合わせたり、いろいろな方々にご迷惑がかかるから」と、かつて旅先で見せていた活力が無くなっている事に心寂しさを感じました。
ただ、私が心から父に感謝したい事は、一生懸命働いて、そして多忙な経営者と言う立場、加えてなかなか休みが取れないという環境の中で、親子3代での海外渡航を企画し実現してくれた事です。あの思い出の数々は一生私の心を支えていく事でしょう。
かつての思い出の写真に写る私の大切な人達は、年を追うごとに1人、また1人と、天国に旅立って行きます。だからこそ私自身も体が動かなくなる前に、今いる大切な人との思い出を、しっかりと作っておきたいと思います。
祖母は晩年「歳を重ねて身体の自由がきかなくなってから旅に行くのは本当に大変。体元気な若いうちに、色々な所に行っておきなさいね」と遺言を残しました。確かに仕事と言う側面が大きいのですが、それでも祖母が言ってくれたアドバイスを今でも大切にしています。