エリザベス2世の死去に際し

私達の世代ですと、昭和天皇や、その皇后であった香淳皇后崩御遊ばした際の悲しみを思い出しますが、世界中の人々、とりわけ英国民にとってエリザベス2世の死去は実に悲しみに極みである事は言うまでもない事でございます。

私が大学時代までに学んだ「帝王学」の時間の中においても、英国王室の事、そしてエリザベス2世の事も度々学ぶ機会がございました。彼女は一言で言えば「公務のプロ」であったと、私は心から敬意と称賛の気持ちを持って表現できると思います。

日本ばかりでなく、世界でも言える事ですが。公職にある人間にはスキャンダルの一つや二つはあるものなのですが。彼女は亡くなるその日まで「女王」をいう職を、一度としてミスする事無く全うしたと申せましょう。

原則として自らの利益の為に人間は生きる。故に公職にある人間であっても、度々国民を裏切ります。しかし彼女は自らや家族の「希望」よりも国民からの「期待」に応じ続けた誠実な女王でありました。幽明を隔てて、哀慕の情は切なるものがあります。