最近のお子さん方は気の毒だと思う

私は父を恐れていました。幼少時代の本音としては「出来れば父に会いたくない」と思っていました。それは非常に教育熱心で厳しい人だったからです。会う度に何か叱られる。それも今の時代では考えられないような厳しさでした。ただ父がよく言っていたのは「雅が大きくなった時に、周囲の人達はきっと雅に対して何も言わないと思うから、だから私が今厳しく言わなければ雅自身が将来苦労をする」という事。

f:id:masashihoshikawa:20201030082644j:plain父の予言は見事に当たり、社会人になるにつれて「星川に物申す」という人は誰もいなくなりました。ただ、小さい時に受けた悍ましい教育は、ある意味「迷わぬ人生」を私に齎した様に感じます。過去に受けた教育が「直感」に変わり、人生や進路、そして社会的な立ち振る舞いについて何ら迷う事なく事を進める事が出来る体質に育っていました。幼少時代に叱られて流し続けた涙の数々は現在、莫大な財産となっています。

f:id:masashihoshikawa:20201030082658j:plain最近、様々な教育機関を訪問して思う事は、最近の大人達は子供達の事を「腫れ物扱い」しているケースが多いという事です。つまり「ガツン」と言える大人が急激に減少しているなと思います。勿論、教育現場で暴力を使う事は良くありません。人体を痛めつける様な事は決してあってはならないのですが。ただ私は「保護者からの苦情」や「マスコミ」を恐れすぎて教育を疎かにする事は「育児放棄」同然だと感じます。

f:id:masashihoshikawa:20201030082713j:plain以前、高等工科学校、所謂、自衛隊の高校の生徒さんに少し厳しくご指摘申し上げた事がありました。それは社会人として非礼な言動をしていたからです。そしたら彼は「高等工科学校の経験の中でのも、星川さんからの一言は一番厳しいものでした」という言葉を頂いたのです。それでも私が受けてきた教育の100分の1くらいの厳しさでご指摘申し上げたつもりだったのですが、厳しいとされている自衛隊教育機関でも「生徒を腫れ物扱い」しているという実態はかえって悲しい現実だと思います。

f:id:masashihoshikawa:20201030082747j:plain深い愛情の中で厳しく子供達を育てねば、子供たちが大きくなった時に困るばかりでなく、国家全体の「品位」が下がるという懸念もあります。ただ大人達も「言葉」をもっと学んで、暴力を使わずして子供達を正しい道に導く必要があります。理不尽な指導であってはならなのです。日本語というものは、世界的にみても「難解な言語」だと私は思います。ただ難解が故に「ボキャブラリー」は豊富です。

f:id:masashihoshikawa:20201030082801j:plainその「日本語のボキャブラリー」を駆使して、子供達を適切な言葉で導く。舌足らずや教養や気品の無い言葉は子供達の人生をダメにしてしまう。そういった自覚を大人達は持って、子供達に接する必要性があります。大切な子供たちが大人になってから困らない様に、そしてこの国や世界を誤った道に進ませない様に、私達が出来る限りの範囲で「適切な厳しさ」を子供達に伝える大切さを痛感する昨今であります。

f:id:masashihoshikawa:20201030082827j:plainさて、防衛大学校のOBの皆さんをお連れしてロンドン市内にあります「ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(Victoria and Albert Museum)」を訪問しました。現代美術や各国の古美術、工芸、デザインなど多岐にわたる400万点の膨大なコレクションが貯蔵されています。この美術館は、ヴィクトリア女王(1819年 - 1901年)と夫アルバート公(1819年 - 1861年)が基礎を築いたもので略称「V&A」と呼ばれています。あまりにもの広さで全てを見て回る事が出来なかったので、また時間のある時にご案内したいと思います。相も変わらずコロナの影響により殆ど人がおらず、快適に美術館巡りが出来ました。何年後かコロナの経験もまた思い出話の一つとして残る事でしょう。コロナの速やかなる収束を願って。

pc.moppy.jp